立会外分売基礎知識と東証一部昇格銘柄を予想するための5つのポイント


立会外分売とは、株をディスカウント価格で買えるチャンスとなる制度です。

 

しかも立会外分売をする企業の中には、上位市場への昇格・市場変更(東証二部から東証一部へ、など)を目指している企業も実は含まれています。

 

一般的に、東証一部昇格が発表されると株価も上がる傾向にあります。

 

株をディスカウントで買い、且つ東証一部昇格に伴う上げ幅もゲットする。そんな投資ができないかと思い立会外分売の基礎知識から東証一部昇格銘柄予想のためのポイントなどをまとめました。

 

【コンテンツ】

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1.東証一部上場企業とは


東証とは、東京証券取引所の略称で、東証一部上場企業とは、東証一部に株式を公開している企業のこと。


東証には、東証一部、東証二部、東証マザーズがあります。東証一部は大企業が中心で、東証二部は中堅会社、東証マザーズは新興企業やベンチャーが集まっています。東証一部上場企業数は、約1900社。東証一部に上場するには、株主数や時価総額、企業が出している業績など、様々な基準を満たす必要があります。


そのため、会社のホームページなどの紹介で、「東証一部上場企業です」と言う文言がアピールとして載せられていることがあります。これは、第三者に客観的に、東証一部に上場するに足る基準を満たしていると評価されているということでもあり、会社の信頼性アップ、知名度向上にも寄与する事項と言えます。新聞などの株価欄にも企業名が掲載されるようになり、東証一部は規模も他の市場よりも大きいことから外国人投資家や、投資信託などの大口の投資機関も投資対象として見るようになります。


通常、東証に上場する新規の企業は、マザーズまたは東証二部に上場します。この時点でもお、株主数、純資産額、利益額、上場時株式数、設立年数など一定の基準を満たしている必要があります。そして、上場後更に東証一部昇格の基準を満たし、且つ企業が東証一部昇格への申請を行い、東京証券取引所が認めた場合にのみ、東証一部への市場指定替え・一部昇格となります。


ここでやっと東証一部に上場できるわけですが、規模の大きい企業などは市場への上場時点で東証一部に初めから上場することもあります。例えば、2015年11月上場の日本郵政などは上場時点から東証一部です。


 

2.東証一部への昇格と株価


前述の通り、東証一部は上場時点から上場するものもありますが、東証二部など他の市場から、東証一部昇格、市場指定替えとなるものが多いです。そして、東証一部への昇格が決まると、これはその後の株価上昇の一因となります。東証一部上場への基準を晴れて満たしたということで、会社の知名度やブランドの価値が上がることに加え、外国人投資家や機関投資家など、大口の買い手が増えるという期待が高まるからです。


逆を言うと、東証一部昇格発表後株価が上昇し大口投資家が買い付けたとしても、世界経済の不安定化などの外部的悪材料が出た場合、大口投資家が大きな売りをぶつけてきたばあいに株価の下落要因になるということも考えられます。ですが、いずれにしても東証一部上場の発表をした時点では、多くの場合株価は上がります。


また、発表後東証一部に上場した後も、東証一部上場銘柄で構成さている投資信託などは、選択の余地なしに新規の東証一部上場銘柄を買う必要がでてくるため、その後の買い需要も発生します。つまり、買わなくてはいけない人がでてくる=株価が上がる一因となり得る、という訳です。


東証一部昇格が発表されると、株価は上がる傾向があるということは、逆に東証一部に昇格・指定替えしそうな銘柄を先んじて目星をつけておき、ポートフォリオに組み入れておくということがひとつの投資戦略になり得るとも言えます。ですが、東証一部昇格は、その企業が申請を出して初めて実現することであるため、東証二部、東証マザーズにずっと留まり続ける企業もいます。東証二部の銘柄を、やみくもに買うだけでは到底東証一部昇格銘柄を先回り買いすることは難しいかもしれません。


では、東証一部昇格銘柄を先読みするにはどうしたら良いのでしょうか?実は、東証一部昇格に関する基準と企業の動きにヒントが隠れています。


 

3.東証一部上場の条件とは


日本証券取引所の一部指定・指定替え・市場変更基準のページには、下記のように条件が記載されています。

(1)株主数(指定時見込み)

2,200人以上

(2)流通株式等(指定時見込み)

a流通株式数 2万単位以上

b流通株式時価総額 20億円以上

c流通株式数(比率) 上場株券等の35%以上

(3)売買高

申請日の属する月の前の月以前3ヶ月間及びその前の3ヶ月間の月平均売買高が200単位以上

(4)時価総額(指定時見込み)

40億円以上

(5)純資産の額(指定時見込み)

連結純資産の額が10億円以上

(かつ単体純資産の額が負でないこと)

(6)利益の額又は時価総額

(利益の額については、連結経常利益金額に少数株主損益を加減)

次のa又はbのいずれかに適合すること

a最近2年間の経常利益の合計5億円以上

b時価総額が500億円以上
(
最近1 年間における売上高が100 億円未満である場合を除く)

(7)虚偽記載又は不適正意見等

a最近5年間の有価証券報告書等に「虚偽記載」なし

b最近5年間「無限定適正」又は「除外事項を付した限定付適正」

c次の(a)及び(b)に該当するものでないこと

(a)最近1年間の内部統制報告書に「評価結果を表明できない」旨の記載

(b)最近1年間の内部統制監査報告書に「意見の表明をしない」旨の記載

単元株式数(指定時見込み)

100

小難しく書かれていますが、シンプルにすると下記の通りです。

株主数(指定時見込み)

2,200人以上

流通株式等(指定時見込み)

20億円以上または上場株券等の35%以上

月平均売買高

200単位以上

時価総額(指定時見込み)

40億円以上

純資産の額・連結純資産の額

10億円以上

最近2年間の経常利益計

5億円以上(2年連続黒字)

時価総額

500億円以上、最近1 年間における売上高が100 億円未満である場合を除く

最近5年間の報告書

「虚偽記載」なし

網掛けの箇所に注目してください。


「指定時見込み」と書いてありますね。ここが、東証一部上場に指定替え・昇格する銘柄を予想する場合のヒントになる箇所です。「指定時見込み」ということは、東証一部上場の申請をする時点では、まだこれらの条件を満たしていなくても大丈夫だが、東証一部に指定承認を受ける段階では満たしている必要があるということです。そこで、東証一部上場を目指す企業は、これらの項目を達成するための活動としてあることをすることがあり、それが東証一部昇格のサインとなっているケースがあるのです。


それが、立会外分売と、株主優待新設です。


もちろん、立会外分売や株主優待新設をしたからと言って、必ず東証一部昇格する訳ではありませんが、ひとつのシグナルになる可能性があります。立会外分売や株主優待の新設が、東証一部上場銘柄の予想とどういう関係があるのかというと、「株主数の増加」と「流通株式数の増加」に寄与するものだからです。日本証券取引所の東証一部上場基準には、株主数と流通株式数が項目としてありますが、これらを満たすために、この2つを増加させる効果のある立会外分売と株主優待の新設を実施した後、実際に東証一部に昇格している銘柄は結構あります。


株主優待の新設発表は、優待をもらえる銘柄ということで個人投資家の人気が上がり、新規にその会社の株を買う個人が増える、つまり株主数が増える要素となり得ます。立会外分売も同様に、株主数を増やす効果があり、且つ流通株式数も増やす効果があるのですが、まずは立会外分売がどういうものなのか、基礎知識と株主数との関係、東証一部上場昇格期待銘柄を予想するために着目すべきポイントについて順にご説明します。


日本証券取引所の一部指定・指定替え・市場変更基準のページ

 

4.東証一部昇格と立会外分売の関係


立会外分売とは、企業の大株主など(社長や役員、出資している会社、親会社など)が保有する株式を、市場が開いている時間の売買取引以外で、一般投資家に売り出すことを言います。


証券取引所の通常の取引時間外、つまり立会の外で行われる売買のため、立会外分売と言われます。立会外分売の一番の特徴は、割引価格で買えるということです。業績も好調な優良銘柄で、且つ東証一部上場昇格が期待できそうな銘柄を割引価格で買えたらラッキーです。立会外分売は、ある種お宝銘柄をお得に買えるチャンスとも言えるかもしれません。


立会外分売実施予定銘柄や分売日は、立会外分売を取り扱っている証券会社のホームページや、個人投資家やプロのトレーダーに人気の投資情報ホームページ、トレーダーズウェブにまとまっています。特にトレーダーズウェブは、実施予定の銘柄が必要な情報と共にひと目で分かる一覧になっていて便利です。


トレーダーズウェブ(立会外分売ページ)

 

立会外分売で、なぜ株主数や流通株式数が増えるのかと言うことですが、大株主が持っていて、通常市場に流通しない、売られない株を分割して個人投資家などに売却(引き渡す)ためです。この行為で、少数の株式を保有する投資家が増えます。(=株主数の増加)また、大株主の株式=流通しない株が減り、流通する株が増えるということです。


※トレーダーズウェブには投資に役立つコンテンツが満載です。立会が分売の一覧も無料だとその年の分しかみることができませんが(去年以前のは見れない)、会員になると過去の記録をほとんどすべて見れるので傾向分析などに便利です。


参考ページ)

※上記リンクから、投資に役立つ会員限定メールの中身がどんなものなのか、上がる株を見つけるための分析ツールについてなどの詳細が見られます。

 

5.東証一部上場昇格期待銘柄を予想するための5つの注目ポイント


個人的に注目しているポイントは、以下の通りです。

  1. 「所属市場」
  2. 「株主数」
  3. 「特定株の比率」
  4. 「優待の有無」
  5. 「分売時の1人当たりの申し込み上限数」

1~4は、四季報を見ればすぐに分かります。(四季報を購入しなくても、楽天証券やSBI証券など、結構多くの証券会社で、口座さえ持って入れば四季報内容を見られるサービスを提供しています)


3については補足があります。特定株とは、市場に流通する可能性の低い株のことを四季報では指しています。単純に考えてしまうと、1-特定株比率=流通している株式数、つまり東証一部上場昇格の条件である「流通株式が上場株式の35%」で指している「流通株式」と思ってしまいますが、正確には、会社四季報で指す特定株(非流通株式)と、東証一部上場条件で定めている流通株式を算出する際に全株式数から差し引く非流通株式には違いがあります。

 

東証一部上場要件で定めている流通株式数について

 流通株式数とは、発行済みの上場株式数から、所有が固定的でほとんど流通可能性がない下記株式を除いた証券の数を言います。

  1. 上場会社の保有株(自己株式)数
  2. 役員が保有する株式数
  3. 10%以上の株を保有する大株主の株式数
  4. 役員の配偶者及び2親等内の血族が保有する株式数
  5. 役員及び親族(役員配偶者・役員の2親等内の血族)が総株主の議決権の過半数が保有されている会社が保有している株式数(役員及び親族が支配している会社の持ち株分
  6. 関係会社の保有株式数及び関係会社役員の保有株式数

簡略に言うと、下記の通りになります。

流通株式数=発行済み上場株式数‐自己株式数‐役員とその親族の保有分及びそれらに関係する株式数‐10%以上保有の大株主の株式数

 

規定の原本は下記になります。

日本取引所グループ用語集 流通株式とは

 

一方、会社四季報による浮動株・特定株の定義は下記の通りです。

 

浮動株:1単元以上50単元未満の株主が所有している株式。つまり、最低購入単位が100株の銘柄の場合、100株~5000株で保有されている株ということ。この株数を発行済み株式数で割った数が浮動株比率。

 

特定株:少数特定者持ち株数のこと。少数特定者餅株数とは、保有の大きさが10位までの大株主と、役員の持株(役員持株会含む)および自己株式の単純合計(重複分は除く)。

 

詳細は、下記マネックス証券の株主情報ページに詳しく載っています。

会社四季報の見方(株主情報について)

 

東証一部への市場変更時の条件時に流通可能性がないとして差し引かれる4~6が、会社四季報の特定株には含まれていませんので、東証一部昇格要件の流通株式数=発行済み株式数‐特定株、ではありませんが、流通株式数の大きさの参考にはなると考えています。

 

 5は、トレーダーズウェブに加え、立会外分売を実施している証券会社の立会外分売一覧ページや、各企業の株主向け発表(IR)で確認できます。


現 時点で東証2部に所属しており、株主数が2200人以下(100以下など、あまりに少なすぎる場合は注目から除外しています)、特定株が65%よりも多い (これも、90%など多すぎる場合は除外)、そして1年以内に株主優待を新設している銘柄は、東証一部上場予想の対象として考えてもよさそうだと思ってい ます。特定株とは、市場に流通しない株式のことですから、例えばこれが66%の場合、市場流通株式は34%、つまりまだ一部上場要件を満たしていないと言 えます。

 

ま た、立会外分売は、分売する銘柄を買いたいということで申し込みをする際に、1人当たりの申し込み上限数が決められています。(分売する会社によって上限 は異なる)この上限数が、少なければ少ないほど、株主数を増加させようと言う企業の裏の意図が感じられます。1人の申し込み可能数が少ないということは、 より多くの株主候補に申し込みしてもらえるようにと配慮しているとも言えるからです。

 

例 を挙げますと、 3683 サイバーリンクスは、2015年8月19日に立会外分売を実施していますが、この時の分売株数は42000株。申し込み上限は100株としていました。 (42000株÷100株で、420人の新しい株主が増えることになりますね)そして実際に、その後9月29日に東証一部上場指定承認に関するお知らせを 発表しています。立会外分売をする銘柄の中でも、こういった点に着目することによって、東証一部上場に指定変え・昇格する銘柄を先回りして予想する手助け になりそうです。


実際に、2015年の立会外分売実施銘柄とその後の市場指定替えなどをまとめた一案表を作成してみました。


★立会外分売実施銘柄一覧(2015年1月1日~10月10日)

※スマホの方は画面を横にしていただくと見やすいと思います。
※スマホの方は画面を横にしていただくと見やすいと思います。

一覧表を見ていただくと分かるかと思いますが、立会外分売を実施し、且つ株主優待も新設したような会社は東証一部上場に指定替え・昇格している傾向があります。

 

ただし、立会外分売が発表されると、株価は下落する傾向にあるため、分売発表されたすぐ直後に買うのは危険ですので注意が必要です。次に、立会外分売の具体的なメリットとデメリットについて述べようと思います。

 

6.立会外分売のメリットデメリットとは


【メリット】

  • 購入時の手数料が無料(売却時は有料ですが)
  • 割引価格で買える(2~4%位割り引かれることが多い)
  • 株式市場の出来高が増え、取引しやすい銘柄になる(出来高が少なすぎると思ったような値段で売れないことが多い)
  • 株主数増加による市場替え期待が生じる銘柄も
  • その日を底に、株価が反転し上昇してくるケースが結構ある(そうでない場合もあるので絶対とは言えません。株式の需給に関係する信用取引の貸借倍率に注意が必要です。この貸借倍率が低い(一般的に1以下)方が上がりやすい傾向にあります。一度買いか売りをすると、反対売買(買った場合は売り)が必要な信用取引において、貸借倍率が低い=信用売りをしている人が多い=株価が上がると損をするため、買戻しする人が増えるからです。)


【デメリット】

  • 当日は分売価格で買った投資家の大量の売りが生じるため、普段の出来高が少なすぎる銘柄は分売価格よりも値段が下がってしまうこともある
  • 分売購入者が当日に売らなかった場合でも、その後の洗剤的売り要因にはなる
  • 市場連動制の高い銘柄だと、割引幅はすぐに下落でなくなってしまう

立会外分売のメリットデメリットについて書いてきましたが、業績有望株を純粋な投資のために買う、欲しかった優待の株を買う、そして東証一部上場に指定変え・昇格の期待がもてる株の目星をつけて買うなど、分売の利用方法はいろいろあります。


ただし、分売実施発表直後から株価は一旦下落傾向になるので、あわてて分売前に買ってしまわないよう注意は必要です。(立会外分売実施については、前もっていついつに実施します、と発表されます。その際に、分売によって割引でどうせ買えるようになるということと、分売で勝った人がその後売りをぶつけてくる恐れがあるということで、一時的に株価が下落することが多いです。)


うまく利用すればお得な立会外分売ですが、どの証券会社でも申し込める訳ではありません。下記に、立会外分売を実施している証券会社をまとめてみましたのでご参照ください。


 

7.立会外分売を取り扱っている主な証券会社


限定でキャンペーンを利用できるものもあるので、こういった特典を利用するとお得です。

どの証券会社から申し込んでも、立会外分売の購入価格は同じです。ですが、1つの証券会社から申し込める株数には上限があるのと、証券会社ごとに分売株式数の割り当てがあるため、複数の証券会社から申し込むようにすると当選する確率が高まります。

 

とはいえ、普段全く取引をしていない・画面操作をしたことがない証券会社から申し込むと、売却時の操作に手間取ってしまうかもしれません。また、立会外分売申し込みには申し込み株数を購入可能な資金をその証券口座に入金する必要があるため、自分の取引状況や、資金移動の工数なども考慮した上で申し込み証券会社を選ぶと良いかと思います。

 

私の場合、IPOの申し込み・PTS取引・株主優待のクロス取引・普段の通常の株の売買と用途が非常に広く資金も一番多く入れているSBI証券、短期売買中心に普段から利用している楽天証券、IPO申し込みのために常に資金を入れているマネックス証券の3社から申し込むことが多いです

 

8.まとめ


自分の保有している株が、東証一部上場に指定変え・昇格をする。こんな経験を私もしてみたいと思い、いろいろな基礎知識や情報をまとめてみました。実際に、立会外分売を研究してきて、9612 ラックランドや、4345 シーティエスなどは事前に購入することができました。(とは言え、その後の株価上下により一部上場指定発表前に売却してしまったのですが笑)

 

東証一部上場は、企業の夢であると同時に、個人投資家の投資チャンスともなり得るイベントとも言えるかもしれません。

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